2013/09/28

ミスター・ロンリー[2007]


逃げ隠れすることなどできない 逃げ場などない
なら 僕はむしろ受け入れたい 群集の中で孤独でいたい


misterlonely.jpg

監督:ハーモニー・コリン
出演:ディエゴ・ルナ、サマンサ・モートン、ドニ・ラヴァンetc...


マイケル・ジャクソンのモノマネをして生計を立てている青年が、
ある日マリリン・モンローのモノマネをしている女性と出会う。
彼女に導かれ、マイケルはインパーソネーター達が集団生活を送るスコットランドを訪れる。
そして、彼らと最高のショーを作るという夢を追い過ごして行くことになるが…



誰にでもある、変身願望。
自分以外の何か偉大な人物になりたい。
存在を認めてほしい。

そんな感情を体現した、映画に登場するインパーソネーター達。
インパーソネーターとは、本格的なモノマネで生計を立てている人々の事を指し、
マイケルジャクソンをはじめ、マリリンモンロー、チャップリン、
ローマ法王やエリザベス女王など、数々の有名人に扮している。

彼らはスコットランドに自分たちのユートピアをつくり、
自分たちだけの小さな、けれど幸福な生活を送っている。

誰かに演じる彼らは、片時もその仮面を外さない。
本物のような格好をし、本物の様な動きで本物のように話す。

誰かに邪魔されることも、バカにされることもない理想の地で、彼らは夢を見て暮らす。


しかし、虚構、というのはいつか崩れ去るもの。
現実に直面したとき、理想や仮面だけでは生きられないことを知る。


 何者かでありたいと願うのは、人間の本能の様な物で、
けれど行き過ぎてしまう滑稽さと、そうでしか生きられない悲しさを
懐かしく哀愁漂うBGMにのせて美しい映像が映し出す。

認められたい、愛されたい 。
そんな対外への要求を満たせるのは、つまるところ自己肯定しかないのだろうか。

現実を知った女性の最後と、恋を知った青年の孤独。
所変わって同時進行で描かれる、修道女たちの奇跡を信じて空を飛ぶ様。
そして、その憐れな運命。


満たされる事のない心の隙間を、ほんの少しでも満たそうと人間はもがく。

なんて皮肉で美しい映画なんだろう。


人間は誰もがミスターロンリーなのだ。

寂しく、孤独。
けれど、辛くとも生きて行かねばならない。
光に向かって、歩を緩めてはいけない。

最後にBGMとして流れるIris Dement のMylifeという曲がまさに全てを体現している。



My life, it don't count for nothing
When I look at this world, I feel so small
And my life, it's only a season
A passing September that no one will recall

But I gave joy to my mother
And I made my lover smile
And I can give comfort to my friends when they're hurting
And I can make it seem better for a while

And my life, it's half the way travelled
And still I have not found my way out of this night
And my life, it's tangled in wishes
And so many things that just never turned out right

But I gave joy to my mother
And I made my lover smile
And I can give comfort to my friends when they're hurting
And I can make it seem better
I can make it seem better
I can make it seem better for a while


世の中って、まだまだ知らない素晴らしい映画がたくさんあるんだな〜。
ハーモニー・コリン監督は、名前は知っていたけど今作が初鑑賞。
彼の他の作品もぜひ観てみたい。

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