2013/03/19

害虫(2002)


あらゆる悪徳こそが人間存在の本質であり、
善とはただかろうじて悪ではない状態に過ぎないのだと考えるのならば、
およそこの世で最も真実らしくないものを―――




監督:塩田明彦 出演:宮崎あおい 田辺誠一 蒼井優 りょう

母親の自殺未遂後、不登校になった少女・サチコは、
小学校時代に恋愛関係にあった先生との文通を唯一の心の拠り所としていた。

そんな折、ひょんなことから出会った当たり屋の少年・タカオとの別れや、
友人・ナツコの説得もあって再び学校へ通い始める。
 ナツコという親友も得て一見順調そうだったが、とある事件をきっかけに少女は・・・。

果たしてサチコが向かう先は天国なのか、地獄なのか。




若かりし頃の宮崎あおいと蒼井優。
対照的な役を演じる二人の少女の魅力が満載でした。

音楽もセリフも極端に少なく、静かに淡々と物語は進んでゆくが、
ここぞという時の効果音がすごい。

ビー玉の転がる音、車が通りすぎる音、鉄骨のカンカンという渇いた音。
先生やタカオの視線。
宮崎あおいの冷めた眼差しも本を辿る指先も美しい。

人によっては「欝映画」とか「眠い映画」とか好き嫌いが分かれるだろうから、
大声でオススメですとは言えないけど、
不思議な中毒性があり、私はとっても好き。


善と悪、生と死、正気と狂気。
反するものの境界線こそ、実は最もあやふやなのではないだろうか。

本作の主人公のような、変に大人びてしまった少女にとって、
社会も家庭も、なんて生きにくいところなのだろう。

愛を求めてさすらう姿が痛々しい。


人間は弱くて脆い。
いろんな人がいろんな風に己を守って生きてる。
耐え難い現実に直面したとき、それでも生きることをやめないのは、
諦めなのか希望なのか。

何があっても生きてゆく。
というのはそれだけですごいことだな~としみじみ思った。





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