僕は一人で世界と戦っている。
監督:蜷川幸雄
出演:二宮和也、松浦亜弥、鈴木杏、etc...
舞台は湘南。高校生の秀一は母と妹・遥香と穏やかに暮らしていた。
ところがある日、母が10年前に離婚した義理の父・曽根が現われ家に居座ってしまった。
傍若無人な曽根は、母のみならず、妹にまで暴行を働こうとした。
秀一は、そんな曽根を自らの手で殺害するため綿密な計画を練る。
その犯行は一見完璧なはずだったが…。
公開当時、母と観に行った覚えがあります。
もう、10年も経つのか…
ラストが幼い私にはあまりにも印象的で、ずっと心に残っていた映画でした。
この映画を一言でいうなら、「やるせなさ」かな。
家族を守るため。
少年の心に灯った青い炎はあまりにもやるせない。
犯罪に犯罪を重ね、逃れられなくなってゆく。
一人きりの孤独な戦い。
劇中、秀一も「何やってんだ、オレ」といっていた。
人の守り方っていうのはきっと様々で、
みんな不器用ながらもお互いを守っているのだろうけど、
潔癖な10代の少年にとっては、真綿で包んだ様な守りよりも、
もっと強固な砦が欲しかったんだろうな、と思う。
大人にとって1年なんてすぐ近くの未来で、
だからこそ、荒波を立てない方法や、先を見据える選択をするのだけど、
少年にとって、1年、1ヶ月、1日というのは長いもので、
未来はあまりにも漠然としていて、小さな不安要素が大きく自分を蝕んでいったりする。
もしも、秀一が家族を守るために一人で戦うのではなく、
家族と一緒に戦う、違う道を選んでいたなら…と思わずには居られない。
ほんとに、やるせない。
東野圭吾著の「さまよう刃」とか、湊かなえの「告白」とかも、
少年犯罪や殺人の正統化の是非を問うものなんだけれど、
実際、どうなんだろうか。
人を殺してもいいか?
この質問なら、当然答えはNo.だ。
けど、人間としてクズといってもいい人なら?
たくさん殺人を犯した人を死刑にするのは?
一人を殺せば数人の命が助かるなら?
いつだったか、NHKで「ハーバード白熱教室」というものをやっていた。
そこで、ハーバードの教授が生徒たちに問うのだ。
「人の命の重さは平等か?」
もちろん道徳的に考えてたら命の重さは平等なんだけれど。
「命」そのものなら、私も平等だと思う。
生命体として、地球も人間も虫も、命は平等だと思う。
けど、この複雑な人間界で、色んな条件つけをされると、
どうしても「平等です」とは言い切れない何かがある。
まあ、こういう質問の答えはないのだろうけど。
ただ、確かに、誰かを殺したいほど憎んでしまうことや、
誰かを殺さねばならない状況があるのは事実で。
自分は、できるならそういうものとは、離れた距離であれたらいいな〜と、
ゆとり世代の私は思ってしまいます。
精進します。
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